日本人は世界に冠たる入浴文化を持つ民族だといわれています。入浴文化の一つに、みんなで一緒に入浴するという風習があります。この共同入浴の起源は、奈良時代の光明皇后による立願施浴まで遡ることができます。江戸時代には「銭湯」と呼ばれるようになり、庶民の憩いの場、情報交換の場として親しまれました。
現在、入浴は家庭単位、個人単位で行われるのが日常的になりましたが、それでも日本人は温泉入浴などで非日常的な共同入浴を楽しむことを強く求めます。これは、入浴が日本人の生活シーンの中でひときわ大切な時間と認識されていること、さらに入浴をとおして人々が触れ合うことの大切さを遺伝子として持ち続けているからにほかなりません。
こうした日本の入浴文化と、それを支えてきた銭湯を積極的に後世に語り伝えていくことは現代人の使命ですが、銭湯は今、時代の変化の中で一見その価値が見失われようとしています。しかし、特に人間関係が希薄になるといわれる都会においては、地域社会の交流やモラルを守る基盤として銭湯を見直す知性が復活しつつあります。
日本銭湯文化協会は、日本人ひとりひとりが「入浴」をとおして自分自身と家族、地域、社会、国家を見つめなおす機会を作り出すために「銭湯検定」を行うことになりました。この意図が皆様に理解されて、共同入浴の意義が見直され、忘れかけた街角の共同入浴施設に再び光が当たり、意義のある活用がなされることを期待しております。
- ■組織名
- 一般社団法人 日本銭湯文化協会
- ■住所
- 〒101-0031東京都千代田区東神田1丁目10番2号 東浴ビル内